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B細胞リンパ腫は,ほとんどの病型がCD20やCD19などのB細胞抗原を発現している。CD20を標的としたヒト・マウスキメラ抗体リツキシマブの開発によって,B細胞リンパ腫の予後は改善してきた。しかし,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL)をはじめとして,再発・難治性アグレッシブB細胞リンパ腫の患者の予後は依然として厳しい。また,濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma;FL)などの進行期のインドレント(緩徐進行性または低悪性度)B細胞リンパ腫や,マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma;MCL)は,多くの患者で初回治療が奏効するものの,再発を繰り返すことが多く,次第に化学療法に対する治療抵抗性を獲得していく。このため,新たな作用機序の治療の開発が求められている。キメラ抗原受容体T細胞(chimeric antigen receptor T-cell;CAR-T)療法は,難治性の悪性リンパ腫に対して効果が期待される,新しい細胞免疫治療である。再発・難治性B細胞リンパ腫に対してCD19を標的としたCAR-T療法の開発が進んでいる。米国では2種類のCAR-T細胞療法がDLBCLを対象として承認されている(2017年,2018年)。日本では2014年に自治医科大学でB細胞リンパ腫を対象としたCAR-T細胞療法の臨床試験(UMIN000015617)が始まったが,これとは別に国際共同治験を経て2018年4月にCTL019の承認申請が行われたところである。この他のCD19標的のCAR-T細胞療法もリンパ腫を対象とした治験も国内で開始されている(JapicCTI:183914,EudraCTNumber:2017-000106-38)。本稿では,主に再発・難治性DLBCLに対するCAR-T細胞療法の臨床試験の成績を紹介しつつ,今後,悪性リンパ腫および慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia;CLL)に対するCAR-T細胞療法の予想される位置づけについてまとめた。「KEY WORDS」CD19,キメラ抗原受容体,T細胞,CAR-T,リンパ腫
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