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新規抗てんかん薬が次々に認可され,わが国におけるてんかん診療も大きく変化してきたが,なかでも2010年に迷走神経刺激療法(vagus nerve stimulation;VNS)が承認されたことは,治療の選択肢という意味で大きなインパクトを与えたといえる。先進国のなかでは最も遅い承認であった。その後の普及はアジア諸国の中でも際立っていたが,保険償還が認められたこと,日本てんかん学会を中心にしてVNSの認定医制度を構築したことなどが,そのような普及にとっては欠くことのできない要素であったと推察する。VNS植込み件数は2018年5月末の段階で,累計2,100件を超えた。2017年には心拍感知型のAspireSR®が承認され,また新たな時代が始まっている1)2)。VNSは緩和的治療に分類されるが,植込み術の侵襲は低く,また副作用が長期にわたって持続することもない。このような特徴からも普及はしやすかったといえる。一方で脳を直接刺激して発作を抑制する手段は,以前からさまざまな研究が行われてきたが,臨床の場に根付くほどには実用化はされてこなかった3)4)。そこに風穴を開けたのが,米国において普及しつつあるResponsive Neurostimulator (RNS®) Systemである5)。さらにDeep Brain Stimulation(DBS)も2018年5月に米国において難治性てんかんに対して承認された6)。本稿では,これらの難治性てんかんに対する植込み型デバイスによる刺激療法の進歩について概説する。「KEY WORDS」刺激療法,植込み型デバイス,Vagus Nerve Stimulation,Responsive Neurostimulator,Deep Brain Stimulation
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