連載 一目でわかるクリニカルレシピ
多発性硬化症の食事
砂田 芳秀
1
1川崎医科大学神経内科学教授
pp.84-87
発行日 2018年3月20日
Published Date 2018/3/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.36.03_0084-0087
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多発性硬化症とは「中枢神経の白質のいたるところに炎症性の脱髄性病変が発生し(空間的多発性)、多彩な神経症状が再発と寛解を繰り返す(時間的多発性)。中枢神経系脱髄疾患の中で最も有病率が高く主として若年成人が罹患するため欧米では社会的にも関心の高い疾患である」。原因は不明であるが、自己免疫的な機序が発症に関与しているとされている。病理学的には脱髄病変とグリア細胞の増加による瘢痕・硬化症病変が特徴的であり、通常中枢神経系のみが侵され、末梢神経系は障害されない。発症には、人種差があり白人に多く、高緯度地域での有病率が高く、北欧や北米に多い。男女比1:2~3で15~50歳の女性に好発するといわれ、特に20歳後半がピークである。わが国での有病率は人口10万人あたり8~9人程度であり北欧や北米の1/10である。欧米では兄弟、親子での発症頻度が高いといわれているが、日本での家族内発症はきわめて少ない。急激な祝力低下・かすみ目・中心暗点などをきたすが、数週間で軽快し、しばらくして再発する。空間的多発性症状としては眼球運動障害(複視・眼球運動障害)、錐体路障害(四肢の脱力低下や筋力低下・腱反射亢進・Babinski徴候)、有痛性強直性けいれん、感覚障害(しびれ・三叉神経痛・Lhermitte徴候)、自律神経障害(神経因性膀胱による排尿障害)、小脳障害(運動失調・振戦・眼振・構音障害)、精神症状(多幸感・抑うつ)がある。
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