連載 一目でわかるクリニカルレシピ
肥満症とメタボリックシンドロームの食事
仁科 惣治
1
1川崎医科大学肝胆膵内科学講師
pp.62-65
発行日 2017年11月20日
Published Date 2017/11/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.11_0062-0065
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日本肥満学会はBMI≧25を肥満の判定基準としており、その中でも減量が必要なものを肥満症として定義しています。腹腔内の特定の脂肪組織に脂肪が蓄積する肥満を内臓脂肪型肥満といい、生活習慣病等の疾病の発症率が高く、いくつもの疾病を重積して発症する特徴があります。肥満症に起因する脂質代謝異常、高血圧、糖代謝異常はいずれも脂肪細胞の質的異常による健康障害によりますが、その発症に至る病態の大半は内臓脂肪の蓄積によるものです。メタボリックシンドロームはこの病態がさらに進行し、内臓脂肪蓄積に加えてHDLコレステロール低値または中性脂肪高値による脂質代謝異常、高血圧、空腹時高血糖の3項目のうち2項目以上のリスクを満たすことにより診断されます。肥満症の治療の原則は日常の摂取エネルギーが消費エネルギーを超えないようにし、それを長期間継続することによって、内臓脂肪を含む体脂肪量を減少させることにあります。治療の基本は食事療法と運動療法です。食事療法は減食を主体としますが、食事制限だけでは除脂肪体重だけが減少し、体脂肪が減らないことがあります。
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