特集 ロコモティブシンドローム,サルコペニアとフレイル:それらの概念・現状と将来展望
フレイル フレイルの概念・現状(疫学・診断法)と展望
佐竹 昭介
1
1国立長寿医療研究センターフレイル予防医学研究室室長
キーワード:
表現型モデル
,
障害蓄積モデル
,
日本版CHS基準
,
老年症候群
Keyword:
表現型モデル
,
障害蓄積モデル
,
日本版CHS基準
,
老年症候群
pp.43-46
発行日 2017年10月20日
Published Date 2017/10/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.10_0043-0046
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2014年5月,日本老年医学会は,従来,「虚弱」や「老衰」と表現してきた「弱々しい」高齢者を,英語で「か弱さ」を表す「frailty」をもとに「フレイル」と表現することを提唱した。これは,「虚弱」や「老衰」という用語に含まれる不可逆的なニュアンスから,より積極的な健康管理により自立状態を維持・改善する意識改革を意図したものであった。フレイルは,健康状態と障害状態の中間に位置づけられ,屋内生活はおおむね自立しているものの,小さなストレスから健康障害をきたしやすい状態を示すとされている。これは,やがて訪れる自立障害や生命の終焉を視野に入れたうえで,自立機能維持の機会を逃さないようにする警鐘を鳴らす概念でもある。このような視点が存在しないと,健康と障害という二極化した捉え方となり,老化の過程における自立機能の維持・改善の可能性を見いだすチャンスを切り捨ててしまう危険性がある。フレイルは,まだ具体的な診断法や評価方法が統一されておらず,未熟な概念であるといわざるを得ない。しかし,待ったなしで押し寄せた超高齢社会に生きる高齢者の自立機能を維持するためには,必要不可欠な概念である。「KEY WORDS」表現型モデル,障害蓄積モデル,日本版CHS基準,老年症候群
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