地方医療史概観
製糸の町で開業医90年モノ語り(24) 燕尾服
白川 貴士
1
1市立岡谷病院産婦人科部長
pp.84-85
発行日 2016年4月20日
Published Date 2016/4/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.34.04_0084-0085
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明治から大正まで,燕尾服は夜会用正装で白い蝶ネクタイ。フロックコートは縞ズボンと合わせると昼用正装,黒ズボンと合わせると夜用略礼装。モーニングは昼用通常服であったが午後に着るのは憚られたそうだ。黒蝶ネクタイのタキシードはまだ一般化していない。フロックオーバーなる現代のチェスターフィールドコートより仰々しいコートもあって,これが礼服たるフロックコートと全く区別がつかない出来なのも面白い。当時は同じ服を2枚重ね着ぎしていて平気だったのだろうか。祖父の礼服を仕立て直して着てみたら,現代では想像を絶する生地の厚さである。着物にしても洋服地にしても昔は生地が厚いほど高級品とされたようである,材料費がかかるのは当然として丈夫さ,耐寒性に重きが置かれた故であろう。会場がどれだけ寒かったかは体育館に火鉢だけという小学校の卒業式を思い出せば想像に難くない。
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