文学にみる病いと老い
(91)「おばあちゃんのユタ日報」
長井 苑子
,
泉 孝英
pp.90-97
発行日 2016年2月20日
Published Date 2016/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.34.02_0090-0097
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花嫁として渡米した大正11年から70数年,自ら記事を書き活字を拾い,小さな日本語新聞を発行してきた女社長・寺沢国子。戦時中も日系人たちに希望と情報を与え続けた「ユタ日報」。……(文庫本カバー裏表紙より引用)昭和59(1984)年に米国胸部学会*1の年次総会で臨床研究の成果を発表して以来,20年近く,毎年,学会発表とアメリカ各地を短期間ではあるがワンポイント訪問で立ち寄ることを続けてきた。 最初の地はカンザスシティ*2であった。はじめての長旅で風邪をひき,明日は発表だというのに39度の熱をだして小さなホテルで臥せっていた。食欲もなく,パンケーキ*3ももうひとつというときに,日本料理のテイクアウトの店のお弁当が手に入ったときにはうれしかった。お店の主はおばあちゃんで「戦争花嫁*4ではないかな」とは,買出人の言であった。異国で日本の味を味わえば,元気もでて,翌日の発表は熱をだしながらもやれた。
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