特集 肝炎の最新情報と展望
特集にあたって
竹原 徹郎
1
1大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学教授
pp.7-7
発行日 2016年2月20日
Published Date 2016/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.34.02_0007-0007
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日本全国の肝疾患による死亡は,年間約5万人前後と推定されている。最も多いのが約3万人にのぼる肝癌による死亡であり,次に非代償性肝硬変,急性肝不全などが主要な疾患になっている。肝疾患の原因は,肝炎ウイルス,アルコール,肥満・過栄養に伴う代謝負荷などさまざまだが,いずれの病因であっても「肝炎」という共通の病態が惹起され,肝硬変や肝癌,そしてときに急性肝不全を発症する。肝炎を理解することを通じて,肝疾患の全体像を俯瞰することが可能であるといえる。肝炎を巡る風景は大きく変わってきた。1989年にC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus;HCV)が発見され,疾患の自然歴の理解が進むとともに,新規感染の防止が徹底され成功してきた。一方,すでに感染した患者に対しては,1992年以来インターフェロン治療が推進されてきたが,治療効果には一定の限界があった。
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