特集 多発性骨髄腫の最新情報Ⅰ
特集にあたって
三輪 哲義
1
1国立国際医療研究センター病院血液内科血液疾患特任診療部長
pp.7-8
発行日 2015年12月20日
Published Date 2015/12/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.12_0007-0008
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多発性骨髄腫(multiple myeloma;MM)の病態研究,評価方法研究,治療研究は,目を見張る速度で進歩を続けている。病態研究の分野では,骨髄腫の発症機序,骨髄腫幹細胞の有無,骨髄腫細胞と造血間質との相互作用(骨髄腫細胞ニッチを含む),髄外病変の特性,続発性形質細胞性白血病への移行機序,骨髄腫の亜分画変遷,骨髄腫の骨病変・腎病変などの合併症発症機序,これらの多因子を踏まえた骨髄腫の多様性の解析,などの領域が主な課題とされている。また評価方法研究の領域では,各種の画像診断を含めた集学的方法による,治療前の体内骨髄腫分布の評価や,奏効性の高い治療戦略の発展に伴う,治療後の微小残存病変の評価の領域での進歩が,最近の主なトピックとされている。治療研究の領域では,新たに診断された骨髄腫の場合には,移植適応例と移植非適応例に大別し,いかに至適治療を実践するかが標準化されている。また以前は治療開始に関し議論があったくすぶり型骨髄腫も,高リスク病型では,早期の治療介入が良好な結果に結びつくことが確認され始めている。治療対象外とされていたMGUSにも多様性があり,MGRSなどの一部病型は積極的治療の対象と考えられ始めている。
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