特集 皮膚悪性腫瘍:診療の進歩と展望
特集にあたって
山本 明史
1
1埼玉医科大学国際医療センター皮膚腫瘍科・皮膚科教授
pp.7-8
発行日 2015年6月10日
Published Date 2015/6/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.06_0007-0008
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皮膚悪性腫瘍とは皮膚に発生する悪性腫瘍すべてを指すが,その発生頻度および悪性度の観点から特に重要で代表的な腫瘍は,悪性黒色腫(malignant melanoma:メラノーマ),有棘細胞癌(squamous cell carcinoma;SCC),基底細胞癌(basal cell carcinoma;BCC)であり,欧米ではSCCおよびBCCを一括してnon-melanoma skin cancersと呼ぶ。皮膚悪性腫瘍の発生頻度は人種,すなわち皮膚色によって大きな差異が認められる。白色人種で発生頻度が最も高く,黒色人種ではきわめて低く,日本人など黄色人種はその中間に位置している。この主たる原因は皮膚のメラニン色素量の差異に基づくと考えられる。メラニン色素は表皮基底層部に存在する色素細胞によって産生され,紫外線を吸収することにより,表皮細胞の核DNAが中波長紫外線(ultraviolet B;UVB)によって障害されることを防いでいる。
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