野巫医のたわごと
(178)骨粗鬆症(3)―治療(2)
前田 貞亮
1
1前田記念腎研究所理事長
pp.58-59
発行日 2015年3月10日
Published Date 2015/3/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.03_0058-0059
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(前号より続き)2.活性型ビタミンD3(VD3)活性型ビタミンD3(VD3)はステロイドホルモンである。天然型ビタミンDは食物として摂取され,さらに皮膚で合成される。肝臓での代謝と,腎臓近位尿細管での作用を受けて活性型ビタミンDに変換され,標的臓器にあるビタミンD受容体を介して作用を発揮する。即ち腸管でのカルシウムの吸収,副甲状腺ホルモン(PTH)の合成分泌,骨の石灰化を促進し,骨密度を増加させる。1)カルシトリオール(ロカルトロール®)活性型VD3を化学合成したものである。骨軟化症,クル病,骨粗鬆症(以下,「骨そ」),慢性腎臓病の骨障害を対象に用いられ,さらに細胞増殖抑制効果の点から乾癬の治療にも用いられる。その他PTH分泌調節にも用いられる。2)アルファカルシドール(アルファロール®,ワンアルファ®)肝臓での水酸化を利用して1)のプロドラッグとして作られた製剤である。骨密度に対して30年前に作られたこの活性型VD3は近年の大規模臨床試験の成績が少ないが,ビスホスホネート薬(以下,BP)程強くはないもののプラセボと比較して腰椎での骨密度の保持に有効だが,大腿骨頸部骨密度についての報告はない。アルファカルシドールは骨折抑制効果が認められている。ビタミンDには転倒抑制効果もあることは前々号に記した。筋組織に対する効果があると思われる。骨密度上昇効果,椎体,非椎体骨折抑制効果は何れもグレードBとなっている。しかし他の薬物としてBPとの併用で有用な成績が多い。
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