特集 アレルギー疾患―最新治療と生活からの視点
Ⅴ アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜疾患
花粉症の舌下免疫療法
湯田 厚司
1
1ゆたクリニック
pp.150-153
発行日 2023年10月20日
Published Date 2023/10/20
DOI https://doi.org/10.34433/pp.0000000727
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小児花粉症の舌下免疫療法
スギ花粉症は近年増加しており,特に小児での増加率が高い.耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした全国調査では,10歳未満のスギ花粉症有病率が1998年の9.2%から2019年には33.9%と増加している1).また,発症年齢の低年齢化も進み,未就学児のスギ花粉症もまれではなくなった.スギ花粉症の治療には,ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)などの薬物治療が有用であるが,これはあくまで症状を軽減する治療である.一方,アレルゲン免疫療法は,アレルギーの自然経過への修飾が期待され,アレルギー性鼻炎の根本的な治療法として重要な位置づけにある.アレルゲン免疫療法には皮下免疫療法(subcutaneous immunotherapy:SCIT)と舌下免疫療法(sublingual immunotherapy:SLIT)があり,スギ花粉のSCITは,わが国では1969年から50年以上も行われているが,注射時の痛みと,まれながら全身性副反応がみられることが課題であった.SLITは全身性副反応を軽減でき,わが国では2014年にスギ花粉症で初めて保険適用となった.発売当初は12歳以上を適用年齢としたが,2018年に年齢制限のない舌下錠が発売され,広く小児にも使用できるようになった.小児に季節性アレルギー性鼻炎のSLITを行っているのはわが国だけであり,ダニSLITにおいても最近オーストラリアで小児に開始された程度で,世界的にもわが国の小児治療が先行している.
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