特集 小児・AYA世代がん診療の現在と未来
序文
加藤 元博
1
1東京大学医学部附属病院小児科
pp.845-845
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.34433/pp.0000000561
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かつては,がんに対して有効な治療はごく限られており,小児がんは「不治の病」のイメージをもたれていました.1948年に白血病が代謝拮抗薬アミノプテリンで寛解に至ることが報告されて以降,がんに対する化学療法は大きな発展を遂げ,国内外の治療研究グループの臨床試験の積み重ねによる集学的治療の進歩の結果,現在では小児がんの多くで70%を超える長期生存率が達成されています.しかし,依然として再発・難治の患者は一定の割合でおり,小児の各年代の死因には悪性新生物が上位を占めています.一方で,原疾患の治癒を達成した小児がん経験者でも,晩期合併症により生活の質が制限され得ることが顕在化しており,小児がんの治療においては,再発率の低下と晩期合併症の最小化,という両立する課題が残されています.
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