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厚生労働省「令和4(2022)年社会医療診療行為別統計の概況」によれば,診療行為別にみた入院外の1日あたり点数の構成割合において,検査は19.3%,画像診断は7.2%を占める.すなわち外来診療に限って言えば,日々の医療費の1/4以上が本増刊号で取り上げるような「検査」に費やされているということになる.巷間よく言われることではあるが,わが国の診療報酬体系下にあっては,患者の訴えにじっくりと耳を傾け,問診だけで最も蓋然性の高い疾患が何かということを推論する,という安楽椅子探偵(armchair detective)のような,経験を積んだヴェテランにのみに許される行為に対しては一銭も支払われることはなく,それよりも,老いも若きも平等に,とにかくなるべくたくさんの検査をオーダーするほうが医療機関の収入増加につながる(あくまで健康保険が適用され得る範囲で,ではあるが).であるからこそむしろわれわれは,日々の検査に関して自制的であることが求められるのではないだろうか.「なぜそのような検査をするのか」「結果をどのように解釈するのか」「結果がどうであったら次の検査に進むべきなのか」「同じ検査をどれくらいの頻度でくり返すべきなのか」等について,われわれは正しい知識をもって必要かつ十分な検査を行う必要がある.重篤な疾病の存在確率が低いと見積もられる患者に対する診断的検査の効果をみた14研究のmeta−analysisでは,これらの「とりあえず検査」は疾病に対する不安・全般的な不安・症状の持続等にまったく効果を示さなかった,という研究結果にも留意する必要がある(Rolfe A:JAMA Internal Medicine 2013).本増刊号ではそのような観点から,各分野の診療に精通されたトップランナーの先生方に,個々の検査の目的や対象,方法と評価等について図表を用いてわかりやすくご解説いただいた.本増刊号が病棟や外来に常備され,「必要十分な検査」が行われる一助となれば幸いである.
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