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少子化が加速する一方,赤ちゃんが欲しい,家族が欲しいと思う方はまだまだ多く,それは自然なことで,尊重されるべき権利である.人間も動物の一種で,多くの場合,子孫を残す,すなわち遺伝子継承の努力をする生き物なのである.でも,妊娠したり出産したりすることは大変な労力が必要で,女性だけが負担していては割に合わない.2人の共同作業であり,男性が協力する姿勢が大切である.また最近は国際的に性と生殖に関する健康と権利(sexual and reproductive health and rights:SRHR)といって,結婚する・しない,妊娠する・しない,不妊治療する・しない,産む・産まない,何人産むかなどは女性自身に決める権利があるということも広くいわれている.当然,仕事を優先する,どのタイミングで妊娠するかも女性自身に決める権利がある.現代の女性は7~8割が仕事をもち,社会で活躍していて,社会人生活をスタートしてしばらくは妊娠よりも仕事を優先させる傾向にある.仕事と不妊治療を両立したいと思う段階になっても,月経や排卵を中心に検査や治療日程が組まれ,治療内容も上司や周囲と共有しづらい事柄であることから不妊治療は先延ばしにされる傾向にある.また,月経困難症や過多月経に悩まされる方は,仕事をするためにホルモン療法を継続せざるを得ず,不妊治療を開始できない方もおられる.しかしながら,30歳を過ぎると卵胞数は著減し,38歳を過ぎると妊娠率が著減し流産率が著増することが知られる.不妊治療の前に子宮内膜症や子宮筋腫の手術をしなければならない方もおられ,確率の低い状況や問題がある状態で不妊治療をすることになり,深刻な少子化のなか,どうしたら早い年齢で不妊治療をスタートできるかが大きな課題になっている.

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