特集 子宮摘出と機能障害・機能温存・機能再建アップデート
ねらい
五十嵐 敏雄
1
1帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
pp.353-353
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000591
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産婦人科の手術は摘出するばかりで機能温存や機能再建するものはないといわれてきたが,いまや子宮の手術に限ってはそうとはいえない.卵巣摘出の場合と異なり術後のホルモン補充までは通常心配ないが,子宮を不用意に摘出してしまうと失われる機能がいくつかある.妊孕性が消失するのはもちろんのこと,子宮を支える靱帯などを失って骨盤臓器脱になることもあるし,長期的にみると冠動脈のトラブルが増えるという話もあるし,大きめに摘出すると排尿障害や排便障害を起こすこともある.ほかにも術後に性行為時の感覚が変わるという話もあり,患者としては術後の傷や侵襲も気になるところであろう.子宮摘出術は産婦人科手術の基本であり,出血が少なく目的を達成し安全に行われるのが一番であるが,子宮が骨盤臓器の1つとして支持組織の中心にあること,尿管だけでなく膀胱や直腸や卵巣に分布する神経や血管の走行も意識して手術を行わなければ,最終的に患者のためにならない.
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