特集 母児を感染から守る―妊産婦の感染症アップデート―
Ⅱ.注意すべき母子感染症
10.HTLV-1感染
三浦 清徳
1
1長崎大学医学部産科婦人科学教室
キーワード:
HTLV-1
,
HTLV-1関連疾患
,
キャリア妊婦
,
母乳感染
,
完全人工栄養
,
短期母乳栄養
,
母児の支援体制
Keyword:
HTLV-1
,
HTLV-1関連疾患
,
キャリア妊婦
,
母乳感染
,
完全人工栄養
,
短期母乳栄養
,
母児の支援体制
pp.1141-1146
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000895
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要旨
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)など難治性のHTLV-1関連疾患の原因ウイルスである.特にATLに対しては有効な治療法が確立されておらず,いったん発症すると生命予後は不良とされている.ほとんどのATLは母乳を介した母子感染例に起因しているため,本疾患に対する最も有効な対策は,出生直後からの母乳を介した母子感染防止により,次世代のキャリアを減少させることである.そこで,日本では「HTLV-1総合対策」の1つとして,2011年より全国的な妊婦のHTLV-1スクリーニング検査が実施されている.HTLV-1感染の有無は,「HTLV-1感染の診断指針(第3版)」に従って診断される.そして,キャリアと診断された妊婦は,自らの意思で完全人工栄養や生後90日間未満の短期母乳栄養を選択することでHTLV-1母子感染の危険性を低下させることができる.HTLV-1母子感染対策には,キャリアと診断して栄養法の選択に関する情報提供をするだけでなく,母児への継続した支援体制を構築しておくことが必須である.
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