特集 これからの性教育―タブー視せずにポジティブに捉える―
ねらい
五十嵐 敏雄
1
1帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
pp.817-817
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000331
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「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」という性教育の国際基準の改訂版がユネスコから発刊されている.年代別に何を具体的に教えるべきかが示されており,幼少期から指導項目に性行為が含まれ,相手の同意を尊重することの大切さ,責任ない立場で妊娠することの意味が教えられる.一方,日本では学習指導要領に「はどめ規定」なるものが存在し,学校教育では性行為を教えられない状況にあり,中学1年生で受精や妊娠を学ぶが,性行為が何かを学ばないまま,中学校3年生で性感染症とコンドームの使用方法を学ぶ.また男子は射精が何かも教えられないまま夢精を経験する.今までも教育現場では性行為を正しく教えようとする動きはあったが,2003年の七生養護学校事件などで教育委員会や保守派の国会議員の反対を受けて性行為を教えることは禁じられてきた.しかしながら,最近は教育現場だけでなくPTAからも適切な性教育に対する要望があって産婦人科医や助産師に講演依頼があり,草の根的に課外活動で希望者に対して性教育が行われている.確かに学校で性行為について聞きたくない子どももいるだろう.そうしたなか,文部科学省は2023年4月から「生命(いのち)の安全教育」という性犯罪・性暴力対策を目指した精一杯の性教育をスタートさせた.
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