特集 HPVワクチンのこれまでとこれから-国際的評価を踏まえた課題-
日本の動向と今後の課題 HPVワクチン有効性のエビデンス 日本対がん協会支部の検診「リアルワールドデータ」の活用
小西 宏
1
1日本対がん協会 がん検診研究グループ
キーワード:
子宮頸部腫瘍
,
集団検診
,
予防接種
,
アウトカム評価(保健医療)
,
子宮頸部上皮内腫瘍
,
オーストラリア
,
日本
,
パピローマウイルスワクチン
Keyword:
Australia
,
Japan
,
Mass Screening
,
Vaccination
,
Uterine Cervical Neoplasms
,
Outcome Assessment, Health Care
,
Cervical Intraepithelial Neoplasia
,
Papillomavirus Vaccines
pp.635-640
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00525.2022222708
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公益財団法人日本対がん協会(垣添忠生会長)の支部が実施する子宮頸がん検診では概ね問診で受診者にHPVワクチンの接種の有無を尋ねている。その中で20代の受診者の検診データを収集し、ワクチン接種の有無でCIN3以上の病変の発見率を比較・分析したところ、ワクチン接種者における発症は、非接種者よりも90%抑制されていたという結果が得られた。この研究は、あらかじめ計画を科学的にデザインした介入研究ではなく、プラクティスの中で蓄積される「リアルワールドデータ」を収集する仕組みをつくり、一定の計画に基づいて分析した点に特徴がある。いち民間団体のデータであることや、個人情報保護の観点等からデータの追跡には限界はあるものの、この先もずっと、今回の研究対象世代が30代、40代になっても、またHPVワクチンが事実上「失われた」9年間に思春期を過ごした世代においても、検診データが収集・分析できる。日本対がん協会が支部の協力を得て、日常業務の中で「エビデンスの基盤」となる仕組みをつくった背景を含めて報告する。
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