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<産婦人科医におさえてほしいポイント>気をつけるべきてんかん「特発性全般てんかん」先にも述べたが普段はてんかん発作がよくコントロールされている、もしくはもともと発作頻度が低く、ご自身のてんかんという病態への意識が低い方などは、持病のてんかんを申告しないまま分娩まで進んでしまうおそれがあるかと思われる。今回、てんかん合併妊娠をなるべく実臨床に即して記載する為に産婦人科医には理解に苦しむ「てんかん分類」から解説を開始することは割愛させていただいたが、このセクションの「特発性全般てんかん」は「特発性」とあり原因がわからない、もしくは何らかの遺伝的素因に関係しているが、少なくとも脳挫傷、脳腫瘍、知的障がいなどを呈す「症候性」のタイプとは異なり、その合併する症状からはてんかんの有無は見抜きにくい。このタイプに分類される割合が25%であり、てんかんの4人に1人がこのタイプとなる。この「特発性全般てんかん」が合併する症状から見抜きにくいということに加え、産婦人科医にとって特に注意が必要なのは分娩状況によりてんかん発作が誘発される可能性があるタイプということである。このタイプは光刺激や過呼吸により全身性けいれんが誘発されやすく、分娩時に無影灯を用いる場合などは不用意に母体の顔面に光を当てたりする等などは避けるべきである。また分娩時の呼吸法が過呼吸気味になると全身けいれんに結びつく可能性があることも理解されたい。このカテゴリーのなかの若年ミオクロニーてんかん・若年欠神てんかんなどがこのカテゴリーの中の代表的てんかん症候群なので知っていていただきたいポイントとなる。また一般的にてんかん発作は睡眠不足、疲労にも誘発されやすくなる。長引く陣痛などにより不眠疲労が溜まるとてんかん発作の誘発にもつながることもご理解いただくとよいと思う。
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