Special feature 新型コロナを経て見直す 隔離予防策—手指衛生と接触予防策
■病原体別接触予防策の実際 ❶多剤耐性菌
山田 康一
1,2
1大阪公立大学大学院医学研究科臨床感染制御学 客員准教授
2市立大村市民病院救急総合診療科 科長
pp.200-205
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000487
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多剤耐性菌を制御するには耐性菌を広げないための「感染対策」と耐性菌を作らないための「抗菌薬適正使用」を行っていくことが重要である。感染対策はinfection control team(ICT)が,抗菌薬適正使用はantimicrobial stewardship team(AST)が中心となり,現場との密接なコミュニケーションをとりながら介入・支援していくことが大切である。多剤耐性菌に対する感染対策は米国疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインでは急性期ケア病棟において多剤耐性菌が検出されているすべての患者に対して標準予防策ならびに接触予防策を行うことを推奨している。しかし,新型コロナによる入院患者が一定数存在する中で,限られたリソースで多剤耐性菌に対して一律個室隔離・接触予防策を行うことは困難である。また,各施設である一定数検出されるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)と一例でも出たら大問題であるカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)(カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌[CPE]),多剤耐性緑膿菌(MDRP),多剤耐性アシネトバクター(MDRA),バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に対して同様に感染対策を行うことも難しい。そのため耐性菌の種類や患者背景を踏まえた「メリハリをつけた感染対策」が望まれる。
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