連載 ID consult—がん患者の感染症診療[6]
多剤耐性菌
原田 壮平
1,2
1JOIS(Japanese Oncological Infection Society)
2がん研有明病院感染症科
pp.494-501
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200235
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はじめに
医療機関における多剤耐性菌の拡散は以前から問題視されていたが、2000年代以降、それまで主な問題であった多剤耐性グラム陽性球菌に加えて多剤耐性グラム陰性桿菌の拡散が世界的に進行した。日本においても2010年代以降、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(extended-spectrum β-lactamase;ESBL)産生大腸菌の検出頻度の増加や、複数の医療機関からのカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae;CRE)やカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(carbapenemase-producing Enterobacteriaceae;CPE)の施設内アウトブレイクの報告など、疫学状況の変化が認められている。
本稿では、前半で多剤耐性菌の国内外の疫学について概説し、後半で「多剤耐性菌」をテーマとしたJOIS勉強会(2014年3月開催)の際に実施された多剤耐性菌の感染対策に関するアンケート結果と関連研究について紹介する。
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