Special feature 耐性菌の最新動向・感染対策とAST
■耐性菌の最新発生動向と感染対策のポイント
❹多剤耐性アシネトバクター(MDRA)
堀野 哲也
1
1東京慈恵会医科大学感染制御科 准教授
pp.253-257
発行日 2023年10月15日
Published Date 2023/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000423
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アシネトバクター属菌は好気性のグラム陰性桿菌で50菌種以上が属しているが,感染症の原因となる菌種は限られており,Acinetobacter baumanniiが人に起こす感染症の原因菌として問題になることが多く,他にA. pittiiやA. nosocomialis,A. lwoffiなどの感染例も報告されている。アシネトバクター属菌は人工呼吸器関連肺炎やカテーテル関連血流感染症,術後創部感染,尿路感染症,術後髄膜炎,熱傷後の皮膚軟部組織感染症などのさまざまな感染症の原因となり,24の報告をまとめたsystematic reviewでは,A. bauma-nniiはすべての院内感染例の15.3%,ICUでは20.9%を占めることが報告され,特に院内感染の原因菌として重要な細菌の一つである。一方,日本の4大学病院で7種のグラム陰性菌による菌血症について調査した結果では,アシネトバクター属菌による菌血症は438症例中12症例であり,アシネトバクター属菌による感染症の頻度は国や地域によって異なる。
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