特集 多様化する医療現場にどう適合するか スタッフのための職業感染対策
今日の現場で求められる職業感染対策とは 医療安全におけるピットフォールの現状を踏まえて
木戸内 清
1
1名古屋市昭和保健所
キーワード:
職業性曝露
,
集団サーベイランス
,
医療事故防止
,
感染予防管理
,
血液媒介病原体
Keyword:
Population Surveillance
,
Occupational Exposure
,
Infection Control
,
Blood-Borne Pathogens
pp.291-295
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/J04878.2018006172
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片翼の医療安全
日本の医療は医療技術の高度化と福祉分野への対応により,医療体制の変革と細分化が急速に進んでいる。医療関係者の献身的な働きにより,患者の病院内感染対策は過去20数 年の間に効果的・実践的な取り組みに進化した。しかし,医療機関における産業保健対策の最優先順位は職業感染対策(針刺し予防やワクチン接種)との報告があるが1),医療現 場の安全衛生の知識と活動経験が乏しいために,現場で働く人の血液・体液(以下血液)曝 露による職業感染,その予防対策の基盤をなす血液曝露サーベイランス体制は部分的であり,職業感染サーベイランス体制はない。血液曝露と職業感染の実態は十分把握されていない中で,地方公務員の医師と看護師の公務災害(主に針刺しなどによる血液曝露)の増加と肝臓疾患の罹患は続いている2,3)。
医学・医療部門のリーダーである医師は,労働安全衛生の視点が薄弱で職業感染に対する危機意識が極めて低いために,医療現場における総合的で効果的な職業感染予防対策は実施されてない。日本の医療現場では安全衛生活動の必要性さえ十分に理解されていない,深刻な状況がある。
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