特集 感染対策のための院内整備ガイダンスPart2 環境整備編
場所別・施設別の環境整備の実際 日常清掃・備品配置・啓発活動 透析室・透析施設
萩原 千鶴子
1
1眞仁会横須賀クリニック 看護部
キーワード:
肝炎-B型
,
肝炎-C型
,
機器と資材用品
,
リスク
,
感染予防管理
,
病院血液透析ユニット
,
感染媒介物
,
血液汚染
,
清掃
Keyword:
Equipment and Supplies
,
Hepatitis B
,
Hepatitis C
,
Hemodialysis Units, Hospital
,
Risk
,
Infection Control
,
Fomites
pp.65-71
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.34426/J04878.2017161440
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに:透析室の特殊性と感染リスク
透析室では,複数の患者が同時にオープンフロアで,ベッドや透析機器,その他の空間を共有しながら血液の飛散する危険性が高い観血的治療を行う。このような特殊な集団治療の場は,血液媒介ウイルスや他の病原微生物がヒトやモノ,環境表面を介して直接的・間接的に伝播する危険性が高い。一方で治療を受ける透析患者は,細胞性免疫の低下や栄養障害,貧血などにより生体の感染防御機構が低下しており,近年の糖尿病患者や高齢者などの易感染者の増加も加わり,感染に対するハイリスク集団である。さらに治療に必要なシャント・グラフト・カテーテルの穿刺・操作手技は常に細菌感染の危険が伴い,バスキュラーアクセス関連血流感染から敗血症に進展することも少なくない。実際に感染症は透析患者の死亡原因の第2位を占めていることからも,透析室の適切な感染対策は透析患者の生命予後改善の面からも大きな意義がある。 透析室の感染対策では,標準予防策を基本に,透析室の特殊性を考慮した感染経路別予防策が求められる。中でもB型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)などの血液媒介感染症への伝播予防策は極めて重要となる。器具や機器の清掃・消毒,環境整備はこれらの予防策に重要な役割を果たす。本稿では,2015年に改訂された『透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(四訂版)』1)(以下,四訂版ガイドライン)の改正点を一部紹介しながら,透析室の環境整備の実際を解説する。
Copyright(C) 2017 Van Medical co., Ltd. All rights reserved.