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特集 肥満症とリハビリテーション治療
肥満症者の脳卒中回復期リハビリテーション
Comprehensive Rehabilitation for Obese Patients in the Post-Acute Phase of Stroke Recovery
吉村 芳弘
1
Yoshihiro Yoshimura
1
1熊本リハビリテーション病院サルコペニア・低栄養研究センター
キーワード:
肥満症
,
サルコペニア肥満
,
脳卒中リハビリテーション
,
栄養療法
,
多職種連携ケア
Keyword:
肥満症
,
サルコペニア肥満
,
脳卒中リハビリテーション
,
栄養療法
,
多職種連携ケア
pp.1008-1014
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034101008
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内容のポイント Q&A
Q1 肥満症者の栄養管理は?
肥満症者の栄養管理では適切なエネルギー制限(1,000~1,300 kcal/日)と高たんぱく質(1.2~1.5 g/kg/日)の食事療法が基本となる.筋量の維持と脂肪量の減少を図ることで,筋力改善とADL向上を促す.脳卒中患者の場合,摂食嚥下障害にも配慮したリハビリテーション栄養管理が重要である.
Q2 肥満はADL回復に影響するか?
肥満がADL回復に及ぼす影響は複雑である.過体重(BMI 25~30程度)では予後良好な肥満パラドクスがみられる一方,高度肥満(BMI 35以上)ではADL改善度やFIM効率が低下し,明確な阻害因子となる.また,サルコペニア肥満はADL回復を著しく妨げ,在宅復帰率も低下する.
Q3 回復期の治療計画で留意することは?
回復期リハビリテーションでは,有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせ,体重管理と筋力改善を同時に進める.安全に訓練を行うため,耐荷重性の高い福祉用具やリフト,滑り板を活用する.また,患者の心理的サポートや偏見の払拭にも注意を払い,継続可能な生活習慣改善を目指す.
Q4 どのように家族指導するか?
家族には栄養管理や運動支援,介助方法を具体的に指導する.適切な食事内容や調理方法,患者自身が自立できるよう過保護にならない介助法を共有し,患者の減量努力を共に励ます姿勢を促す.家族とともに小目標を設定して患者のモチベーションを維持し,自宅退院後の再入院予防につなげる.

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