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内容のポイント Q&A
Q1 肥満症とは?
脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で,体格指数〔BMI=body mass index体重(kg)/身長(m) 2〕≧25のものを肥満の定義とし,肥満があり,肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか,その合併が予測され,医学的に減量を必要とする病態が肥満症である.最近の10年間でみると,女性では有意な増減はみられないのに対し,男性では2013年から2019年の間に有意に増加し,その後の有意な増減はみられていない.
Q2 肥満の内科的な影響は?
内臓脂肪組織の過剰な蓄積による,種々のアディポサイトカインの産生調節異常から,種々の内科的影響が惹起される.代表的な疾患として,高血圧症,脂質異常症,耐糖能障害はもちろんのこと,非アルコール性脂肪性肝疾患,閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群,肥満関連腎臓病等が,深く関連している病態として,メタボリックシンドロームが挙げられよう.
Q3 高度肥満の骨関節や動作への影響は?
高齢者に多くみられる関節の変性疾患である変形性関節症は,肥満と関連する代表的な運動器疾患である.肥満患者では変形性膝関節症,変形性股関節症,手の変形性関節症の発症・進行のリスクが増大することが明らかとなっている.生体力学的要因として,体重増加による関節にかかる負荷の増大が挙げられるのは当然であるが,肥満患者の代謝的要因が変形性関節症の発症に関与していることが明らかとなった.
Q4 その他,身体にどのような影響があるか?
肥満が大腸,食道,子宮体部,膵臓,腎臓,乳房(閉経後)のがんのリスクを増加させることは「確実」,胆嚢がんについては「ほぼ確実」,肝臓がんについては「可能性あり」とされている.さらに,肥満(BMI 30以上)があると,そうでない場合に比べ,全生存率ならびにがんに関連する生存率が低下すると報告され,かつ再発リスクも上昇すると報告されている.

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