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特集 バーチャルリアリティ・メタバースが拓くリハビリテーション医療の可能性
遠隔リハビリテーションとXR技術
Tele-Rehabilitation and XR Technologies
蔵田 武志
1
,
大島 賢典
1
Takeshi Kurata
1
,
Kensuke Oshima
1
1産業技術総合研究所人間拡張研究センター
キーワード:
遠隔リハビリテーション
,
XR
,
動機づけ
,
互恵ケア
,
常時モニタリング
Keyword:
遠隔リハビリテーション
,
XR
,
動機づけ
,
互恵ケア
,
常時モニタリング
pp.355-363
発行日 2025年4月15日
Published Date 2025/4/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034040355
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内容のポイント Q&A
Q1 遠隔リハビリテーションの現状とは?
オンラインビデオ通話形式や非没入型VRを活用した遠隔リハビリテーション(以下,リハ)事業が増加し,XRリハも海外で進展しているが,遠隔とXRを両立させた事例は少ない.市場規模の成長が期待される一方で,法整備や保険適用の遅れ,技術的な課題が障壁となっている.米国では柔軟な規制が進む一方,日本では診療報酬体系や制度整備が未熟である.国内外を問わず,遠隔リハの長期エビデンスの不足が依然として課題となっている.
Q2 遠隔リハビリテーションにおいて,どのようなXR技術が活用可能か?
利用者の運動評価や触覚提示にはウェアラブルデバイスが有効であり,アバターの動きを変調して錯覚を生じさせるハンドリダイレクションは,自己効力感を高める手段として注目される.メタバース上で他の患者・利用者と共同で運動訓練を行う遠隔互恵ケアはリハの継続性向上に寄与する.さらに,AIを活用して心身状態を把握することで,遠隔介入のタイミングや運動強度,錯覚の程度を適切に調整することが期待されている.
Q3 遠隔リハビリテーションにおけるXR技術活用の課題は?
XRを用いた遠隔アセスメントでは,身体機能と認知機能を同時に評価できる一方,アバター化による精度低下が課題であり,触覚技術やウェアラブルデバイスを組み合わせた新技術の開発が求められている.また,メタバースでのアバター制御やハンドリダイレクションの実装を容易にするための標準化や参入障壁の低減が必要で,各ステークホルダーの協力が課題解決を加速させる鍵となる.

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