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内容のポイント Q&A
Q1 定義や目的は?
Psycho-Oncology(精神腫瘍学,サイコオンコロジー)は,がん患者の精神心理的側面の評価と対応を行うために,腫瘍学と精神医学を統合した新たな学問分野である.サイコオンコロジーが目指す2つのゴールは,①がんが患者,家族,医療者に与える精神心理的影響を明らかにし,それに対応すること,および②がん患者のQOLや生存に関与する心理・社会・行動学的因子を同定し介入法を開発することである.
Q2 がん診療における位置づけ,ベストプラクティスは?
情報開示を前提とした医療が実践される中,がん医療でみられる情報開示は悪い知らせが多く,悪い知らせを伝えられた後には,落胆,孤立感,疎外感等の通常の心理的な反応から,専門的な対応が必要な精神的苦痛がみられることがある.そのため,がん患者・家族を精神心理的側面からサポートし最善の治療が受けられるようにすることで,患者・家族の生活の質(QOL)の向上を目指す.
Q3 リハビリテーション専門職の役割は?
リハビリテーションを実践する中で,対応を必要とする精神心理的負担である適応障害,うつ病,せん妄が存在していないかどうかを評価すること,また患者と良好なコミュニケーションを築くことはがん患者の精神心理的負担を軽減する有用な一手段ともなることから,リハビリテーション場面における適切なコミュニケーションスキルを身につけることが重要である.
Q4 学術的な位置づけ,エビデンスは?
サイコオンコロジーが目指す2つのゴールを実現するため,近年目覚ましく発展してきた脳科学,遺伝学,免疫学等の基礎医学との連携によりエビデンスに基づいたサイコオンコロジーの生物学的基盤を解明・確立することに努力が払われてきた.その1つの成果として,日本サイコオンコロジー学会はこれまでに3つのガイドラインを発表した.
Q5 今後の展開は?
第4期がん対策推進基本計画において,精神心理的苦痛に対する心のケアを含めた緩和ケアは「がん医療」分野の中に記載されることとなり,すべての医療従事者が診断時から治療と併せて取り組むべきケアとされた.また,基本計画にも取り上げられているAYAがん患者の精神心理的問題の評価と対応を確立させていくことが今後の課題といえる.
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