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内容のポイント Q&A
Q1 ALS患者の治療薬概説は?
グルタミン酸拮抗剤リルゾール(商品名リルテック®)(1999年保険適用取得)は18カ月間の投与で生存期間を2〜3カ月延長する.エダラボン(ラジカット®)は点滴静注製剤(2015年保険適用取得)と内用懸濁液(2023年保険適用取得)があり,6カ月間の投与で改定ALS機能評価尺度(amyotrophic lateral sclerosis functional rating scale-revised(ALSFRS-R)の低下を33%抑制する.呼吸苦や疼痛緩和には強オピオイドの使用が可能であり,痙縮に対しては抗痙縮薬が保険適用を有している.
Q2 治験進行中のALS治療薬は?
治験情報は国立保健医療科学院の臨床研究情報ポータルサイトで検索可能である.2023(令和5)年11月現在,白血病治療薬ボスチニブの第Ⅱ相試験が準備段階,抗パーキンソン病薬ロピニロールは医師主導治験(第Ⅰ/Ⅱa相)が終了し最終治験準備中,高用量メコバラミン(E0302)は第Ⅲ相治験が終了し承認申請中である.家族性ALSの治療薬トフェルセンは2023年4月に米国で承認され,日本でも国内承認の準備中である.
Q3 今後開発されるであろうALS治療薬とその作用機序は?
家族性ALS(変異SOD1遺伝子陽性)患者に対するトフェルセンはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)とよばれ,変異SOD1蛋白質の発現を抑制する.孤発性ALSに対する抗てんかん薬ペランパネルは運動神経細胞AMPA受容体を拮抗阻害し異常蛋白質の蓄積を抑制する.肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)は髄腔内投与によりアポトーシスを介した神経細胞死を抑制する.流涎の対症療法としてスコポラミンパッチも開発中である.
Q4 ALS治療薬とリハビリテーションの併用効果は?
原疾患やリハビリテーションに伴う疼痛に対しては神経障害性疼痛治療薬(ガバペンチン,プレガバリン,三環系抗うつ薬,デュロキセチン,リドカイン外用,カプサイシン),非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs),アセトアミノフェン等が,痙縮にはバクロフェン,チザニジン,ベンゾジアゼピンが有効である.これらを必要に応じて併用する.
Q5 ALS治療薬のための多職種連携は?
医師(脳神経内科医,呼吸器内科医,胃瘻造設施行医,リハビリテーション医,精神科医,緩和ケア医),看護師,薬剤師,リハビリテーション療法士,社会福祉士,栄養士,治験コーディネーター等の連携が重要である.これにより,生存期間延長,生活の質の改善が期待できる.
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