特集 令和の脳卒中ディベート10番勝負—脳卒中治療ガイドライン2021とその先を識る
ディベート・セクション 10番勝負
非心原性脳梗塞に対する静注抗血栓薬(オザグレル,アルガトロバン)の使用
Pro 静注抗血栓薬を含むカクテル療法を活用する
永金 義成
1
1京都第二赤十字病院脳神経内科
キーワード:
トロンボキサンA2
,
トロンビン
,
エダラボン
,
rt-PA
,
branch atheromatous disease型梗塞
Keyword:
トロンボキサンA2
,
トロンビン
,
エダラボン
,
rt-PA
,
branch atheromatous disease型梗塞
pp.482-485
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228788
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『脳卒中治療ガイドライン2021』では,静注抗血栓薬であるオザグレルナトリウム(以下,オザグレル)もアルガトロバンも,非心原性脳梗塞患者の急性期治療法として“考慮しても良い”(推奨度C)とされており,アスピリンの単独投与やアスピリンとクロピドグレルの2剤併用投与(いずれも推奨度A)に比べると急性期治療法としての推奨度は低い1,2).しかしながら,本邦の脳卒中データバンクに登録された発症14日以内に入院した脳梗塞患者61,048例の急性期治療薬をみると,オザグレルはラクナ梗塞19,194例の68%,アテローム血栓性脳梗塞19,990例の34%に投与され,同じくアルガトロバンはそれぞれ16%,45%に投与されており3),これらの静注抗血栓薬は,本邦の急性期脳梗塞診療の現場で広く普及していると言えるであろう.
カクテル療法とは,作用の異なる薬剤を組み合わせて投与する治療法のことである.脳神経領域では,脳保護療法としての仙台カクテル(マンニトール,デキサメタゾン,ビタミンE)が有名である4).DAPT(dual antiplatelet therapy)は2種類の抗血小板薬の併用療法であり,カクテル療法とも言えるが,本稿では,抗血栓薬と抗血栓薬以外の薬剤との併用,あるいは抗血栓薬のなかでも抗血小板薬と抗凝固薬のように異なるクラスの薬剤の併用をカクテル療法として取り上げる.
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