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特集 筋萎縮性側索硬化症(ALS)への多彩な連携とリハビリテーション医療
ALSにおける栄養と摂食嚥下リハビリテーション
Nutrition and Dysphagia Rehabilitation in Amyotrophic Lateral Sclerosis
早乙女 貴子
1
Takako Saotome
1
1東京都立神経病院リハビリテーション科
キーワード:
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
,
栄養障害
,
摂食嚥下障害
,
リハビリテーション
Keyword:
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
,
栄養障害
,
摂食嚥下障害
,
リハビリテーション
pp.135-141
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033020135
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内容のポイント Q&A
Q1 ALS患者における栄養の重要性は?
ALS患者の病初期の著しい体重減少は予後不良因子である.栄養状態はALS患者の生命予後とQOLに影響を及ぼすため,栄養療法は患者の体重と栄養状態の適正化を図る重要な治療である.患者の体重減少の原因として,疾患特異的なエネルギー代謝異常や摂食嚥下障害がある.
Q2 ALS患者の栄養介入の実際と効果は?
患者が摂取すべきエネルギー量を提示し,体重や栄養状態を定期的に評価する.管理栄養士による栄養指導やNSTの介入,OTによる食事場面の環境調整,STによる嚥下調整食の指導等を行う.常食に高カロリー・高脂肪食を足した食事で患者が体重維持し,生存期間が延びた報告があり,高エネルギー食の摂取が推奨される.
Q3 ALS患者の嚥下障害の特徴は?
嚥下関連筋群の筋力低下により嚥下障害が起こる.摂食嚥下の5期モデルでは,先行期・口腔準備期・口腔送り込み期・咽頭期の各期で障害がみられる.
Q4 ALS患者の摂食嚥下リハビリテーションは?
リハビリテーションによる機能回復は困難だが,患者の摂食嚥下機能や栄養状態とQOL の維持向上をゴールとして療法を行う.PTによる呼吸理学療法や,OTによるADL訓練,STによる嚥下訓練等が行われる.
Q5 ALS患者の摂食嚥下リハビリテーションの今後は?
有効な嚥下訓練内容や進め方等に関するエビデンスの構築が必要である.嚥下評価手法として,高解像度マノメトリーや,舌の超音波検査の有用性が示唆されており,嚥下障害の早期発見や病態把握,新規治療につながることが期待される.
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