スポット
脳から考える中年太りのメカニズム
-過食の本当の問題
中村 和弘
1
Kazuhiro Nakamura
1
1名古屋大学大学院 医学系研究科 統合生理学
pp.157-159
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn147020157
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はじめに
加齢にともなって代謝が低下し,太りやすくなることは多くの人々が経験する.事実,成人では脂肪を燃焼させて熱を産生する褐色脂肪組織の機能が加齢にともなって低下し,それが中年以降の体脂肪率の増加と相関する1).世界的に肥満人口は増加しており2),肥満は糖尿病,高血圧,脂肪肝などの発症リスクを高める.現代では過食が肥満につながることが広く認識されているが,加齢にともなう脳の神経細胞の変化を調べた私たちの最近の研究3)から,過食の問題点は単に過剰摂取したエネルギーが脂肪として蓄積することだけではないことが明らかとなってきた.

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