がんの栄養治療・栄養指導 いま改めて考え,拓く
【Part6 さまざまながん治療時の栄養管理】薬物療法・放射線治療時の栄養食事管理
古田 雅
1
Masashi Furuta
1
1東邦大学医療センター大森病院栄養部臨床栄養管理室
pp.815-824
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.32118/cn146060815
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Key Point
薬物療法・放射線治療の副作用は多岐にわたるが,食欲不振や嘔吐,粘膜炎などの頻度が高く,食事摂取の不良により体重が減少し,栄養障害が引き起こされ,治療継続期間や予後の短縮に影響する.患者個々の症状に応じた食事のとり方,副作用症状を緩和させる調理の工夫,必要な熱量やたんぱく質量を提示し,少量摂取でも栄養価の高い食材や食事法,栄養補助食品などを提案する.
放射線治療の有害事象は,照射範囲,照射法,線量により異なるが,頭頸部や胸腹部に放射線が当たる場合の自覚症状として,食事をする際の疼痛,食欲低下,嘔吐,下痢が生じやすく,照射を重ねるごとに増悪し,治療後の晩期有害事象も発生するため,長期的な栄養食事管理が治療完遂とQOL維持に重要である.
化学療法と放射線治療を併用する場合は,単独よりも食事摂取量に影響する症状が強くなるため,早期からの栄養介入による食事支援,必要に応じて経腸栄養の併用など,がんに専門的知識を有する管理栄養士による,患者個々に合わせた,より専門的な栄養サポートが必要である.

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