連載 栄養指導・栄養管理に活かしたい 食物繊維学の新常識⑬
レジスタントスターチ関連新素材の化学と生理機能
西村 直道
1
Naomichi Nishimura
1
1静岡大学農学部
キーワード:
レジスタントスターチ(RS)
,
でん粉
,
血糖応答
,
大腸発酵
Keyword:
レジスタントスターチ(RS)
,
でん粉
,
血糖応答
,
大腸発酵
pp.123-129
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn146010123
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はじめに
現在でも,でん粉は小腸でほぼ100%消化され,吸収されるものと考える人は多いが,これは明らかに誤った認識である.1945年にSchwimmer1)はin vitroにおいて,加熱調理されたでん粉に比べ生のでん粉は消化されづらいことを報告している.1960年代には,消化されづらいでん粉の存在について研究報告がなされている2-4).1980年代に入り研究が活発になると,ヒトの小腸で消化抵抗性を示すでん粉はレジスタントスターチ(RS)と命名されるに至った5).つまり,でん粉は小腸で消化吸収され,エネルギー源としての機能をもつだけでなく,食物繊維様の作用をもつRSが存在することが明確になってきたのである.RSは当初,食物繊維の範疇として扱われていなかったが,食物繊維の定義に該当する成分であるとともに食物繊維様の生理作用を示すことから,1990年あたりにRSを食物繊維の一部とする考え方が提示されはじめた6,7).現在ではRSは広く認知され,食物繊維の一部として分類されている.さまざまな天然食品素材に含まれているRSのほか,でん粉に化学的修飾を施すことで消化抵抗性を付与したRSも利用されている.
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