特集 先端科学技術と公衆衛生
新素材による健康障害
石西 伸
1
,
久永 明
1
Noburu ISHINISHI
1
,
Akira HISANAGA
1
1九州大学医学部衛生学教室
pp.815-819
発行日 1989年12月15日
Published Date 1989/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208074
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■はじめに
人類の歴史をひも解くと,古くは石器・土器時代,青銅器時代,鉄器時代へと材料中心の技術,文化を形成し発展してきた.そして産業革命を経て,近年の急速な技術革新に伴い,石器・土器はセラミックス,さらにファインセラミックスへ,金属材料は合金,アモルファス合金へと展開している.高分子材料の分野では,過去50年間にナイロンに始まる多彩な合成高分子物質が次々に登場し,最近はエンジニアリングプラスチック(ファインポリマー)の進出が著しい.
今世紀に入って文明社会に最も寄与しているのは,エレクトロニクス関連材料であろう.今日,シリコン半導体は真空管を駆逐しており,エレクトロニクス革命といわれるほどあらゆる分野への応用を広め,情報化社会の中核をなしている.その一方で,異業種,異分野間での先端技術の融合化がますます進み,炭素繊維をはじめとした複合材料が,スポーツ用品,航空機,宇宙基材等に利用されている.
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