基礎実習講座
細菌の栄養と培地素材
坂崎 利一
1
1国立予防衛生研究所細菌第一部
pp.1027-1030
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202907
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いわゆる細菌と呼ばれるProkaryotae(原核生物)界の生物には,植物のように大陽の光エネルギーを利用し,CO2から炭水化物を合成できるものから,生きた高等生物の細胞内でなければ生活できないものまである.しかし,それらが生活し,発育し,増殖するためには,どのような細菌であろうと,窒素原,炭素原およびエネルギー原を外界に求める必要があり,それらを何から求めるかによって,細菌は図および表1のように大別される.
医学で扱う菌はすべて他家栄養菌であるが,それらの中にも窒素原として無機のアンモニウム塩(ときにはN2)で足りるものから,アミノ酸そのものを要求するものや,Rickettsia,Chlamydiaなどのように生きた動物細胞内でなければ発育,増殖できないものまである.しかし,大部分の菌では,われわれは今日それらを人工培地で培養でき,例え現在はそれができないような生体寄生菌でも,その栄養要求が解明されれば,動物細胞を離れた人工培地上で培養できるはずである.
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