連載 カンファランスで学ぶ NST難症例ケーススタディ④〈隔月連載〉
SMART目標に基づくNST介入の実践と成果:治療意欲の低下がみられた食道癌術後の一例
済生会横浜市東部病院NST(栄養サポートチーム)
キーワード:
SMART目標
,
PICS
,
ICU-AW
Keyword:
SMART目標
,
PICS
,
ICU-AW
pp.180-184
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn145020180
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ケースサマリー
患者は胸部中部食道癌(Mt,pT1bN0M0,cStageⅠ)と診断され,内視鏡的食道粘膜切除術後に胸腔鏡腹腔鏡併用食道癌3領域郭清術を受けた.術後の経過中に吻合部リークと縦隔炎を発症し,緊急ドレナージが必要となった.これにともない,廃用が進行し,患者の治療意欲の低下も問題となった.
術前に低栄養は認められなかったが,術後の合併症による活動制限が廃用症候群を加速させ,体力と意欲の低下を引き起こした.このため,NSTによる積極的な栄養管理が必要とされた.
NSTは患者の身体機能の維持と回復をめざし,栄養状態の改善に焦点を置いた介入を行った.SMART目標の設定により,患者特有のニーズに合わせた栄養・リハビリテーション計画が策定・実行された.SMART目標に基づくアウトカム測定は,治療効果を可視化し,患者自身のモチベーション向上に寄与した.結果として,患者の筋肉量と握力の低下が抑制され,活動意欲の改善も得られた.
この症例から得られた知見は,多職種連携の重要性と患者中心のケア,そしてNST介入時のアウトカム設定の重要性を再確認するものである.
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