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ケースサマリー
症例は50歳代男性,HIV(免疫不全症候群)感染症の加療歴があるが治療を自己中断していた.数カ月前より不随意運動が増悪,体動困難となり救急搬送.HIVにともなう肺炎,敗血症性ショックにて救命病棟へ入院.経口摂取を行っていたが,誤嚥性肺炎増悪があり,第10病日気管挿管・人工呼吸器管理となった.第24病日気管切開施行,第42病日呼吸器離脱,第44病日に一般床へ転床.その後も感染や敗血症性ショック[CV(中心静脈)カテーテル感染や抗HIV薬開始後の免疫再構築症候群疑い]や血圧低下のため,ICUへ入室した経緯あり.呼吸状態,循環動態は安定しても,繰り返す誤嚥性肺炎と下痢に難渋しTPN(中心静脈栄養)から経腸栄養への移行に難渋.徐々に体重は減少しるいそう著明(BMI 13.4 kg/m2),栄養管理に難渋しており,下痢の改善と経口摂取への移行,ADL向上目的のため第152病日NST介入となった.NST介入時は,経腸栄養とエルネオパⓇ 2号が併用されていた.これまで,24時間持続投与や投与量の調整,消化態栄養剤や成分栄養剤への変更,整腸剤・シンバイオティクスの投与,止痢剤等さまざま試してみたが下痢が改善しなかった経緯あり.NSTにて粘度調整食品の使用を提案し翌日から変更.下痢は徐々に改善し経腸栄養剤の増量とTPNを漸減.第172病日経口摂取を目標に嚥下リハビリテーションも兼ね,アイスマッサージと空嚥下の間接嚥下訓練を提案.自己喀痰可能となり第217病日レティナカニューレへ変更,第220病日嚥下内視鏡検査を施行,第221病日ゼリーの提供開始,徐々に食上げ,耐久性に合わせながら食事提供量を増やし,経腸栄養を漸減,第224病日経口摂取へ完全移行となった.その後も食事摂取量は安定,体重はNST介入時40.2 kg→47.4 kg(BMI 15.8 kg/m2)へ増加,病状も安定し第249病日NST介入終了となった.
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