Japanese
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特集 社会的ストレスに関わる神経系の制御
社会的孤独の惹起と社会的孤独が心血管疾患を惹起するメカニズム
-――オキシトシン神経系の変容
Initiation of social isolation and induction of cardiovascular disease by social isolation
――Alterations in the oxytocin system
吉田 匡秀
1
Masahide YOSHIDA
1
1自治医科大学医学部生理学講座神経脳生理学部門
キーワード:
オキシトシン
,
社会的孤独
,
服従行動
,
視床下部腹内側核
,
脂質代謝
,
動脈硬化
Keyword:
オキシトシン
,
社会的孤独
,
服従行動
,
視床下部腹内側核
,
脂質代謝
,
動脈硬化
pp.836-840
発行日 2026年2月28日
Published Date 2026/2/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu296090836
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近年,社会的孤独はうつ病,認知症,心血管疾患のリスクを上昇させることがわかってきている.公衆衛生上の深刻なリスクから,社会的孤独は現代社会が解決すべき喫緊の課題となっている.しかし,社会的孤独が惹起される生物学的な要因や,社会的孤独によって引き起こされる疾患の病態生理はよくわかっていない.本稿では,最近報告された社会的孤独を惹起する神経メカニズムと,社会的孤独が代謝性疾患や心血管疾患を惹起するメカニズムについて紹介する.興味深いことに,これらのメカニズムの両者にオキシトシン神経系の変容が関わることが報告された.すなわち,社会的ストレスで特有に活性化する視床下部腹内側核オキシトシン受容体ニューロンが過剰に活性化すると,社会的な交流を避け,孤立するように行動が変容することがわかった.また,社会的孤独によって誘発されたアテローム性動脈硬化の進行と脂質恒常性の破綻は,視床下部オキシトシンの発現低下によるものであることがわかった.オキシトシン神経系の調節は,医学的な側面から社会的孤独の解決の一助になる可能性がある.

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