連載 ヘルスコミュニケーションと健康な社会づくりを考える Dr.エビーナの激レア欧州体験より・11
孤独と社会的孤立のエビデンス—英国での「孤独担当大臣」新設と取り組み事例
蝦名 玲子
1
1株式会社グローバルヘルスコミュニケーションズ
pp.550-553
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209190
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2018年1月に英国のメイ首相が,新しい大臣のポジションを新設しました.その名も「Minister for loneliness」(孤独担当大臣).公衆衛生分野では,世界保健機関ヨーロッパ支局が2003年に孤独や社会的孤立が及ぼすリスクを取り上げた1)ことを機に注目されてきたものの,こうした問題への対応に大臣職が設けられるのは世界史上初のことです.
孤独や社会的孤立の問題は,日本にとっても他人事ではありません.むしろ,日本の方が英国より深刻な状況にあり,「15歳の子どもも成人男性も,孤独を感じている割合は日本が第1位」「女性も孤独を感じる割合はメキシコに続いて日本が第2位」ということが明らかになっているのです2)3).この状況を踏まえて,私たち日本の公衆衛生関係者も孤立死の防止対策や自殺予防対策などの取り組みを行っていますが,それ以上に,何かできることはないのでしょうか? そこで今回は,孤独対策について,効果的な戦略を練る上で役立ちそうな研究や英国の取り組みから考えたいと思います.
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