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第1土曜特集 急性腹症の診療の質を上げる秘策
急性腹症における身体診察
-――押さえるべきポイントとそのエビデンス
Physical examinations in acute abdominal pain
――Key points and their evidence
矢吹 拓
1
Taku YABUKI
1
1国立病院機構栃木医療センター
キーワード:
急性腹症
,
身体所見
,
尤度比
Keyword:
急性腹症
,
身体所見
,
尤度比
pp.591-596
発行日 2026年2月7日
Published Date 2026/2/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu296060591
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本稿では,「急性腹症診療ガイドライン2025」に基づいて急性腹症における身体診察について解説する.急性腹症の診断において,身体診察が重要な役割を果たすことに異論はないであろう.身体診察の系統的な手順,それぞれの所見の有用性や限界,特殊な状況下での考え方など,押さえるべきポイントがある.系統的な手順として,まず外観とバイタルサインから緊急度・重症度を迅速に評価し,重篤な疾患を強く示唆する体位,頻脈,頻呼吸などの異常に着目する.腹部診察の基本の型は視診,聴診,打診,触診の順で愛護的に行う.特に重要な身体所見は,腹膜刺激徴候であり,患者の苦痛を増大させない打診痛が反跳痛と同等の高い診断的有用性を持つ.また,腸閉塞の診断においては異常な腸蠕動音の聴取が有用である.しかし,高齢者や免疫抑制状態の患者では,筋性防御などの典型的な腹膜刺激徴候がみられず,身体診察のみに依存することは危険である.臨床検査や画像検査の結果と統合した総合的な判断が不可欠である.

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