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特集 炎症性腸疾患 研究と臨床の最新知見
はじめに
Introduction
久松 理一
1
Tadakazu HISAMATSU
1
1杏林大学医学部消化器内科
pp.251-251
発行日 2026年1月24日
Published Date 2026/1/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu296040251
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- Abstract 文献概要
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)の患者数は日本を含めて世界的に増加傾向であり,消化器疾患のなかでのメジャー疾患になりつつある.近年のIBD診療はめざましい勢いで進歩しており,特に治療において分子標的薬の登場が診療体系を一変させた.新しいところではIL-23p19抗体製剤,経口低分子化合物であるJAK(Janus kinase)阻害薬やS1P(スフィンゴシン-1-リン酸)受容体調節薬が日常診療で使用可能となった.治療選択肢が増えたことは患者にとっても医療者にとっても朗報であることは間違いないが,一方で薬剤選択が複雑になってきているのも事実である.最も危惧されることは,抗TNF(tumor necrosis factor)-α抗体製剤の登場前後を知っている世代は少なくともこれまでの新薬開発の経緯を知っているが,これからIBD診療を志す若い世代とっては,いきなり10種類近くの分子標的薬が目の前に並んだところから始まることになる.その薬剤選択が治験における奏効率だけで判断できるかといえば,それはNOである.どの薬剤をもってしても突出した臨床的寛解率を出し得ておらず,いわゆる治療の天井(therapeutic ceiling)が存在する.逆に,どの薬剤を選択したとしても一定の確率で効果を発揮するはずなので,それを「自分の治療選択が正解だった」と思い込むのは大きな間違いだと思う.
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