Japanese
English
連載 医療にいかす行動経済学・Vol.1
医療行動経済学のすすめ
Behavioral economics for healthcare:an introduction
大竹 文雄
1
Fumio OTAKE
1
1大阪大学感染症総合教育研究拠点
キーワード:
医療行動経済学
,
ナッジ
,
損失回避
,
フレーミング効果
,
利他的メッセージ
Keyword:
医療行動経済学
,
ナッジ
,
損失回避
,
フレーミング効果
,
利他的メッセージ
pp.174-182
発行日 2026年1月10日
Published Date 2026/1/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu296020174
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
SUMMARY
本稿は,医療現場における患者の意思決定を理解し支援するために,行動経済学の知見を活用する重要性を論じている.医師が情報を正確に伝えても患者が望ましい行動を取らない背景には,情報過剰負荷やフレーミング効果,価値観の相違などの心理的要因がある.損失回避や現在バイアスなど人間の行動特性を踏まえ,ナッジを用いた行動変容支援が有効である.筆者らの研究では,風疹抗体検査やCOVID-19感染対策,ワクチン接種,梅毒検査促進などで,利他的メッセージや社会比較情報が行動を促す効果を持つことを実証した.今後は,パーソナライズドナッジの活用,倫理的課題への配慮,医療従事者教育の充実が求められる.医療行動経済学は,科学的知見と人間理解を架橋する実践的学問として,医療の質向上と患者のQOL改善に寄与する可能性を示している.

Copyright © 2026 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.

