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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
視床下部・下垂体
バソプレシン分泌異常症
-――中枢性尿崩症,抗利尿ホルモン不適切分泌症候群
Arginine vasopressin deficiency and syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone
萩原 大輔
1
,
有馬 寛
2
Daisuke HAGIWARA
1
,
Hiroshi ARIMA
2
1名古屋大学医学部附属病院糖尿病・内分泌内科
2同大学院医学系研究科糖尿病・内分泌内科学
キーワード:
バソプレシン(AVP)
,
中枢性尿崩症
,
抗利尿ホルモン不適切分泌症候群(SIADH)
Keyword:
バソプレシン(AVP)
,
中枢性尿崩症
,
抗利尿ホルモン不適切分泌症候群(SIADH)
pp.654-660
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090654
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抗利尿ホルモンであるバソプレシン(AVP)の産生および分泌は,血漿浸透圧による厳密な調節を受けている.しかし,その調節機構が障害され,高浸透圧,高ナトリウム血症下にもかかわらずAVP分泌が低下した病態が中枢性尿崩症であり,逆に低浸透圧,低ナトリウム血症下においてもAVP分泌が抑制されない病態が抗利尿ホルモン不適切分泌症候群(SIADH)である.中枢性尿崩症は,同じく低張性多尿をきたす腎性尿崩症や心因性多飲症との鑑別が重要であり,水中毒による低ナトリウム血症に注意しながらデスモプレシンにより治療を行う.SIADHは除外診断であり,低ナトリウム血症を呈するすべての疾患が鑑別の対象となる.重篤な中枢神経症状を呈する高度の低ナトリウム血症では3%食塩水にて治療を開始するが,軽度で慢性経過の場合には水制限やAVP V2受容体拮抗薬であるトルバプタンが用いられる.いずれにおいても,血清ナトリウム濃度の急激な上昇は浸透圧性脱髄症候群を生じる危険性があるため,十分に注意が必要である.
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