Japanese
English
第1土曜特集 痛み――慢性痛研究の最近の話題と将来展望
痛みの機序
脊髄後角
Dorsal horn of spinal cord
津田 誠
1
Makoto TSUDA
1
1九州大学大学院薬学研究院薬理学分野
キーワード:
脊髄後角
,
神経回路
,
グリア
,
神経障害性疼痛
Keyword:
脊髄後角
,
神経回路
,
グリア
,
神経障害性疼痛
pp.16-20
発行日 2021年7月3日
Published Date 2021/7/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2780116
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
脊髄後角には脳への投射神経に加え,数多くの介在神経が存在し,それらが複雑な回路を構築している.脊髄後角はその神経回路を介して末梢からの痛覚や触覚などの感覚信号を適切に処理・統合し,脳へ送っている.しかし,その回路に異常が生じると痛覚信号が強化されたり,ときには触覚信号が痛覚に変換されたりと,劇的な変化が起こる.その異常の長期化が慢性疼痛の原因のひとつとされ,それにはグリア細胞が重要な役割を担っている.すなわち,脊髄後角は外界の感覚信号を脳へ送るための単なる中継地点ではなく,非常に巧妙な感覚信号処理・統合を担う部位であり,さらに慢性疼痛メカニズムや治療薬開発においてもカギとなる重要な場である.本稿では,想定される脊髄後角神経回路を概説し,慢性疼痛の発症につながる神経障害による変化を神経およびグリアに注目して紹介する.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.