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特集 麻酔科学の進歩――より効果的で安全な全身管理のために
小児と高齢者に対する麻酔管理の最近の話題
Recent topics in pediatric and geriatric anesthesia
吉川 裕介
1
Yusuke YOSHIKAWA
1
1札幌医科大学麻酔科学講座
キーワード:
神経発達
,
術後せん妄(POD)
,
フレイル
Keyword:
神経発達
,
術後せん妄(POD)
,
フレイル
pp.229-233
発行日 2025年7月19日
Published Date 2025/7/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294030229
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近年の麻酔科学の進歩はめざましく,特に小児や高齢者における麻酔管理に関しても多くの研究がなされている.小児に対する麻酔管理においては,麻酔薬の神経発達への影響について,この20年ほど基礎・臨床ともに多くの研究が行われてきた.全身麻酔薬は幼若脳の神経細胞死を引き起こし,その後の学習障害につながるという基礎研究結果は衝撃的であるが,同じことがヒトでも起きうるのかという臨床的疑問は,多くの臨床研究が行われてきたにもかかわらず,いまだ明らかではない.現代の小児麻酔においては,全身麻酔は神経発達に悪影響をもたらす可能性は否定できないものの,医学的に必要な全身麻酔下の手術は遅滞なく行われるべきであるという立場を堅持する.一方で,高齢者に対する麻酔管理においても,同じく神経科学に関する分野で多くの研究が行われ,特に術後せん妄(POD)について注目が集まっている.2024年には「高齢者における術後せん妄の予防と治療のプラクティカルガイド」が公表され,患者予後の増悪と密接に関連するPODをいかに予防するかという観点からの周術期管理が重要である.

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