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公益社団法人日本麻酔科学会第71回学術集会講演特集号 招請講演
麻酔と小児神経発達~その過去,現在と未来~
Anesthesia and pediatric neurodevelopment:past, present, and future
斉藤 仁志
1
Hitoshi SAITO
1
1北海道大学病院麻酔科・集中治療部
キーワード:
麻酔薬の神経毒性
,
小児麻酔
,
神経発達
,
猫大好き
Keyword:
麻酔薬の神経毒性
,
小児麻酔
,
神経発達
,
猫大好き
pp.S45-S53
発行日 2024年11月20日
Published Date 2024/11/20
DOI https://doi.org/10.18916/masui.2024130007
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はじめに
1990年代から,基礎研究領域において臨床で使用される麻酔薬が幼若神経細胞に対してアポトーシスに代表される神経毒性を有するとの報告が相次いだ。1970年代-’80年代にかけては,虚血再灌流モデルや外傷モデルを中心として麻酔薬には神経保護作用があると考えられていたことから,その事実は麻酔科医のみならず世界中の多くの医療者に大きな驚きを持って迎えられ,その後,数多くの基礎研究,臨床研究が実施されることとなった。2016年にはヒトを対象とした,いくつかの質の高い前向き研究の結果が発表され,アメリカ食品医薬品局(food and drug administration:FDA)から “単回・短時間使用される全身麻酔薬,鎮痛薬は行動障害や学習障害とはならない”,との発表がなされたことで,一種パニックのような状況は収束したが,それから8年が経過した現在,この問題はどのように認識され,扱われているのであろうか。本論文では,これらの問題を俯瞰し,2024年6月現在,われわれ麻酔科医が知っておくべき情報を,歴史的背景と合わせて網羅的に解説する。
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