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第1土曜特集 大変革期のリハビリテーション治療と拡大する守備範囲
領域の拡大
術前リハビリテーション医療のエビデンスと展望
Evidence based approach in preoperative rehabilitation medicine
尾川 貴洋
1
Takahiro OGAWA
1
1愛知医科大学医学部リハビリテーション医学講座
キーワード:
運動療法
,
合併症
,
栄養管理
,
抗炎症効果
Keyword:
運動療法
,
合併症
,
栄養管理
,
抗炎症効果
pp.77-82
発行日 2025年7月5日
Published Date 2025/7/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294010077
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近年,術前管理の重要性が高まり,そのなかでも術前リハビリテーション医療が術後の転帰を改善する手段として注目されている.手術は身体に大きなストレスを与え,術後の炎症反応や免疫機能低下,筋力低下を引き起こすため,術前から最適化を目指すことが重要である.術前リハビリテーション医療は,運動療法と栄養管理を組み合わせた包括的アプローチであり,高齢者や慢性疾患を持つ患者にも有効とされる.術前の適切な運動介入は,術後の回復力を高めるだけでなく,合併症のリスクを軽減し,早期の離床や社会復帰を促進する.また,運動療法は術後の炎症反応を調節し,免疫機能の維持にも寄与することが示唆されている.さらに,術前の栄養状態も術後の回復に大きな影響を及ぼし,低栄養状態の患者では創傷治癒の遅延や感染症リスクの増加が報告されている.術前リハビリテーション医療の導入は,術後の身体機能の低下を最小限に抑え,患者の自立度向上を支援する重要な戦略であり,今後のさらなる標準化と普及が求められる.

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