Japanese
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連載 緩和医療のアップデート・Vol.8
終末期の治療抵抗性の苦痛に対する鎮静
-――海外における適用の拡大と国内臨床でいま注意するべきこと
Sedation for refractory symptoms at the end of life
森田 達也
1
Tatsuya MORITA
1
1聖隷三方原病院緩和支持治療科
キーワード:
終末期
,
鎮静
,
苦痛緩和
,
持続的鎮静
,
深い鎮静
Keyword:
終末期
,
鎮静
,
苦痛緩和
,
持続的鎮静
,
深い鎮静
pp.597-603
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289080597
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◎苦痛緩和の鎮静(palliative sedation)が臨床医学の課題として認識されたのは,1990年,当時WHOがん疼痛鎮痛法の開発・普及委員会の委員長を務めていたVentafriddaの提案にはじまる1).その後,2000年代には国際的なガイドラインの策定が行われた.そこで問われていたのは,死亡が数日後,長くても1~2週後に差し迫った患者で「他に苦痛を和らげる方法がない」ときに,しかたなく,患者の意識を低下させることで苦痛を緩和しようとする最終手段(last resort)としての鎮静であった.
◎しかし,近年になって世界各国で鎮静の適応を,最後の数日を超えて,他に緩和できない苦痛を超えて,身体的苦痛を超えて(精神的苦痛に対して)広げようとする動きがある2).これはヨーロッパを中心に生じている死の権利・死に方の権利の展開のひとつの側面であるが,当然ながらわが国で臨床を行う場合には国内法にしたがうことが重要であり,外国の事象をそのまま適用することはできない.本稿では,海外における鎮静の適用の拡大と国内臨床で注意するべきことについてまとめる.
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